平成21年度

◇絵画班

第一班:小川・板倉は、30年来の懸案であったボストン美術館の調査撮影が可能になったため、当初計画を変更し、自然史博物館(ロンドン)は、来年23年度に延期し、原資をアメリカのメトロポリタン美術館・ボストン美術館・ピーボディ美術館計3件に集中し、中国絵画・チャイナ・トレード・ペインティングのアメリカ補足調査を行った。調査撮影総点数は1256点である。

第一班:西上は、昨年度追加寄贈のあった須磨コレクションの中国近代絵画等約50点、印章等約50点、計約100点の調査整理を行い、小川・西上共同で、国内調査を実施した。

第二班:後小路は、国内に分蔵される満州国美術展覧会図録の調査を継続した。

第三班:桝屋は、これまでに国内外で調査撮影したペルシア・タイル資料総計454点などの銘文解読などを進めてデータベース化した。

第四班:井手(連携研究者)は、前年度に引き続いて、高麗・朝鮮王朝仏画における文化的・国家的自己同一性追求・形成の研究を行い、第五班:田中は、オーストラリア国民画派を国際様式となった印象派の一環と捉えて、比較藝術社会学的研究を継続した。


◇彫刻班

第一班:浅井・第二班:朴は共同し、東京国立博物館収集東南アジア彫刻スライド資料整理を継続しつつ、東・東南・南アジア仏教遺跡の包括的調査の一環として実施した中国雲南省仏教彫刻・史跡調査の資料整理を行った。
第三班:秋山は、これまでに実施した東京・京都両国立博物館所蔵インド・ガンダーラ彫刻調査の成果をまとめた。


◇建築班

羽田・大田は、これまで行ってきた東南アジア建築調査と英米両国における関連資料調査で収集した資料整理を行った。


 


平成20年度

◇絵画班

第一班:小川・板倉は、ナプレステック博物館(プラハ)・大英博物館(ロンドン)・東アジア美術館(ベルリン)など、ヨーロッパの公私コレクション20個所に所蔵される中国絵画約860点の調査撮影を行うとともに、各地の美術館・博物館における美術作品の収集状況や、その組織実態・運営方針の把握に努めた。
また、西上とともに、適宜、国内調査を進めた。

第三班:桝屋は、インド・イスラーム史跡写真資料約1700点の整理を開始し、シアトル美館所蔵のタイル写真資料を整理した。

第四班:井手は、韓国に赴き、高麗仏画における自己同一性追求の造形的実態について、研究発表と記念講演とを行った。

第五班:田中は、「江戸・東京の茶の湯展」を主催し、オーストラリア美術における自己同一性の問題を考察した。


◇彫刻班

第一班:浅井と第二班:朴は、東京国立博物館収集東南アジア彫刻スライド資料整理を継続しつつ、共同で新たな研究対象を雲南省などに求め、8月未から9月中旬に、中国彫刻作品調査を実施した。調査個所は香港歴史博物館や広東省博物館、雲南省博物館・大理市博物館など、29個所である。


◇建築班

大田は、9月末から10月初に、マレーシアにおいて、国立博物館、スルメナンティ・スルタン王宮など、1月未から2月初に、セネガルにおいて、国立公文書館、IFAN博物館など、8月上旬から中旬に、アメリカにおいて、国立公文書館、イエール大学など、三カ国総計18個所の建築の調査撮影、関連資料の収集を行った。

 


平成19年度

◇絵画班

第一班:小川・板倉・西上は、 昨秋、シカゴ美術館・プリンストン大学美術館・サンフランシスコ・アジア美術館など、アメリカ・カナダの公私コレクション20個所に所蔵される中国絵画約1500点の調査撮影を行うとともに、各地の美術館・博物館における美術作品の収集状況や、その組織実態・運営方針の把握に努めた。 また、適宜、国内調査を進めた。

第二班:後小路は 本年3月、福岡アジア美術館所蔵の朝鮮美術展図録全19巻、及び満州国美術展・台湾美術展図録の調査を行った。

第三班:桝屋は、 昨年、9月末から10月初めに、パリ:ルーヴル美術館、ベルリン:イスラーム美術館において、ペルシア・タイル作品の調査を実施し、資料約350点を入手・整理の後、ペルシア語銘文解読を行った。


◇彫刻班

第一班:浅井は、 東京国立博物館収集東南アジア彫刻スライド資料整理を継続しつつ、その補充調査として、8月末から9月初めに、タイ・シンガポール・マレーシアの彫刻作品調査を実施した。
調査個所はタイ:バンコク国立博物館やシーウィチャイ遺跡など22個所、シンガポール:アジア文明博物館など3個所、マレーシア:マレーシア国立博物館やルンバ・ブジャン遺跡など9個所である。


◇建築班

大田は、 本年1月末から3月末に、オランダ・ドイツ:ライデン大学など4個所、インドネシア・シンガポール:ソロ・スルタン王宮など3個所、アメリカ合衆国:コロンビア大学など3個所において断続的に調査を実施し、宗主国と植民地の建築に関わる基礎資料などを収集した。
また、建築班:岩根(研究協力者)は、3月、インドネシア:パレンバンの建築悉皆調査の一環として、同市内の公共建築などを調査した。


平成19年度は、これまで積み重ねてきた萌芽研究・基盤研究(A)の成果を承け、絵画・彫刻・建築班分担して世界調査を実施することが出来た。